チョット笑える話

チョット笑える話〜金融機関編 PARTW〜 2003/04/06
 営業で外回りが仕事の私はこの日も駅前商店街の集金をしていた。昼時も過 ぎた、一軒の日本そば屋がその舞台。店内に客はひとりもなく、店の主人とくだら ないバカっ話しでもしながら、隅のテーブルで札を勘定していた。話しも一段落し たところで、その店主が奥に引っ込んでしまった。おそらくトイレに行ったのだろ う。
 私以外に誰も居なくなった店で、入り口の扉が突然「ガラッ」と開いた。OLいや 学生風のひとりの若い女性だった。何か気まずい雰囲気が漂ってしまった。客が 店に入ってきて、何の反応もなければ、無愛想な店と思われてしまう。そしてまず 入った本人が嫌な気分になってしまう。そう思った私はつい反射的に言ってしまっ た。
 「いらっしゃい!」 
 女は壁に貼ってある「品書き」を立って見ていた。私は平常心に戻って、札勘定 を続けた。1分くらいの時間が経過しただろうか、次の瞬間この女の放つ蚊の鳴く ような声が私の耳をよぎった。
 「お、おかめうどん、ください」
 なっ、なんなんだ。オレを店の人と勘違いしているのか。それより ”おかめうど ん”って何だ。そんな食い物世の中にあったのか。反応するにはこの言葉しか思 いつかなかった。
 「はい、少々お待ちを」
 Yシャツ・背広・ネクタイ姿のそば屋のオヤジが果たして存在するだろうか。「お かめうどん」というモノは確かに存在した。




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