チョット笑える話
チョット笑える話〜ペット編〜 2022/01/20
|
|
小学校高学年の頃。一匹のカメを拾った。クサガメかイシガメの類だ。ティッシ
ュ1枚くらいの面積の甲羅で、大きな亀だ。昭和50年頃には、まだ外来種の凶暴
な亀は野生化していなかった。
裏庭のブロック塀を利用して、逃げないように巣を作ってあげた。好物はミミ
ズ。 当時はドブ川沿いとか空き地の土を掘るとミミズが獲れたんだ。「おおたらミ
ミズ」 や大きめのミミズ数匹もペロッと平らげる食いしん坊。死んでしまった池の
金魚や 鮒だって、丸ごと食べていた。
脱走が得意なヤツ。どんなに巣の囲いを完璧に仕上げても、よく逃げた。爪が
鋭いから、登っちゃうんだよね。甲羅があるから、着地の心配なんて要らないし。
と、言う事で、甲羅に黄色いプラカラーで我が家の電話番号を大きく記載してや
った。甲羅の腹の部分ではない、屋根の部分だ。「53-〇○○○ ゴトウ」ってね。
やっぱり逃げた。今回は我が家の庭では発見されなかった。
2〜3年後。「〇丁目の〇〇理容ですが、お宅の亀を拾いましたので、引き取り
に来てください」と電話があった。菓子折り持って引き取りに行ったが、その場所
に驚いた。隣の丁目の床屋の庭で発見されたらしい。我が家の常連床屋ではな
く、我が家から南東へ直線で500m、道のりで550m、歩いて7分かかる距離だっ
た。そして、片側1車線でも県道クラスの道路を2回も越すのだ。甲羅には、しっ
か りと「53-〇○○○ ゴトウ」の黄文字が残っていた。
その後、この亀がどうなったのか? 全く記憶が残っていない。亀を死なせてし
まったのなら、記憶にあろう。昆虫や魚ではないのだから。家族のだれも、死な
せ た時の記憶がない。たぶん、再び脱走し、以来行方がわからないのだ。
この話には、まだオチがある。オイラが大学生になって、近所の市営プールで
監視員のバイトをしていた。亀を拾ってくれた床屋の娘がプールにやって来た。
小 学生の女の子に、我が家のカメの記憶は無かったが、家に帰ってお母さんに
聞 いてもらった。「ウチに迷い込んだ亀の甲羅に電話番号が書いてあった」って。
更なるオチである。大学卒業後、地元の金融機関に勤めて更に数年後、その
床屋の担当になってしまった。「その節は、どうも・・・」。
|
|
|
|