チョット笑える話

チョット笑える話〜海外旅行編A〜 2005/11/06
 マニラ市内をひとり歩いていたら、前方の歩道に2人の男を発見した。フィリピ ーノ(現地人の男)である。なにやら、黙々と座り仕事をしている。ひとりが顔を上 げると、私と視線が合った。そして、驚いた様子で、
 「Hey, long time no see !(やあ、しばらく)」
と、私に声をかけてきた。
 (誰だったかな?)
と、頭の中で、一生懸命に記憶を整理していると、
 「Thank you very much in Puerto Galera.(プエルトガレラでは世話になったね)」  
と、もうひとりの男も言い寄ってきて、握手を求める。
 確かに、昨日まで私はプエルトガレラにいたので、その時に知り合った誰かだろ うと予想がついた。そして、そんな偶然に出くわすなんて、なんてラッキーな事だろ うと、心ウキウキする気分になっていった。
 「Don't you remember us ? We remember you very much .(オレ達を覚えてい ないのかい?君のことはよく覚えているよ)」
と、更に彼らは言う。
 ここで相手のことを思い出さなければ、失礼になってしまう。興奮する気持ちを 抑えて、冷静に記憶をたどってみた。彼らの顔に、全く記憶はないのであるが、プ エルトガレラで複数の男と出逢った時といえば、島の漁師たちと会話したくらいで ある。
 「Are you the fishermen ?(あの時の漁師さん?)」
と、私は聞いてみた。すると2人は、
 「Yes, yes, we are the fishermen .」
と、大笑いで答えた。
 何という偶然だろうか。私たち3人は、互いに手を取り合って再会を喜んだ。路 上で男達がはしゃぐ姿は異様だったろう。
 ふと、男のひとりが私の胸元をチラッと見た。
 (アッ!)
と、思った。そして、
 (やられた)

 その時、私が着ていたのは、プエルトガレラで買った土産のTシャツだったの だ。胸元には、しっかりと「Puerto Galera」の文字が記されていた。
 
 
 
  マニラでは、この手の寸借詐欺が多い。通りすがりの人に突然、宿泊するホテ ル名を尋ねられ、正直に答えると、
 「私はそのホテルのガードマン。今日は非番なので、あなたをガイドします」
と、ガイド料のボッタクリ請求や、睡眠薬強盗のキッカケ作りを助けてしまうのであ る。
 おそらく今回も、私が遠くを歩いている時から、「カモ現れる」ということで既にス タンバイしていたのだろう。それにしても、初めて私と目が合ったときの驚き方は 素晴らしい演技だった。それまで、下を向いて仕事をする振りをしていたのも立派 である。
 年々、巧妙化するこの手の詐欺であるが、手口も笑えるが、騙されたバカもい い笑いモンである。 




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