チョット笑える話
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数年前、会社の同僚たちと伊豆は今井浜の民宿に慰安の旅に出たことがあっ
た。普段から、ファッション・チェックにはうとい私であるが、この時ばかりはチョッ
ト気まずい思いをした。
民宿での宴会も終了し、男共だけの温泉地の宿泊では、そのあと街に繰り出す
ことになった。居酒屋、スナック、ストリップ、射的など、部屋で寝るにはまだ早い
のだから、当然の行動だろう。同僚たちは普段着に着替えたが、私だけは民宿
の屋号の思いっきり入った浴衣姿で外に出た。屋号入りの浴衣は行った店で、変
にボッタクリに合うこともない作用もあるし。
ところが宿から駅に向かう道沿いにはその手の店が一軒もなかった。とうとう駅
まで来てしまった。しかし、居酒屋はおろか、ラーメン屋の一軒もない駅前だっ
た。突然、「カンカン」と、踏切の閉まる警告音。
気づけば伊豆急電車の車内に、同じグループからも距離をおかれてひとりたた
ずむ浴衣姿の男が。熱川までの時間が長かったことは、言うまでもない。
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