チョット笑える話

チョット笑える話〜ツーリング・九州・四国編〜2003/08/24 
 金融機関職員時代に、「遠い町で飲もう!」と、変な待ち合わせをしたことがあ った。待ち合わせの相手は職場の先輩。場所は徳島県は徳島市内の某ホテル。 日時は予め私が決めていた。
 九州・四国と11連休のツーリングひとり旅の最終日前夜がその待ち合わせ日。 来るはずがないと思っていた矢先にその相手は到着した。こちらは明朝のフェリ ーで東京に向かい、その年の夏休みは終了。かたや相手はこれから夏休みに入 るところ。その入れ替わりの僅かな日時の重なりが、遠い地方でのジョイントを可 能にした。
 ホテル前の高級割烹で、まずはお互いの道中無事を祝して乾杯。このままホテ ルの部屋で寝入ることが出来ないのが世の常。2人して、夜の徳島市内のスナッ ク行脚の旅が始まった。これとおぼしきビルの一角のスナック前。2人の男によぎ る不安はただ一つ。「一見の客を装っては、ぼったくられる」だった。
 「ここはあくまでも地元客のふりをしよう」
2度と訪れるつもりの無い店で、それを相手に感づかれたら、勘定は2倍3倍が 暗黙の方程式。
 「足元を見られる前に見せてやろう」
 「カラン」と音の鳴るドアをくぐり抜け、始めに入った先輩はこう切り出した。
 「やあ、しばらく、元気だった」
実にわざとらしい演技である。私らを出迎えたホステスは、
 「私、先週入ったばかりで何も分からないんです、すみません」
何とか第一関門は突破した。そして、カウンターの席に座ることが出来た。
 とりあえずは地元から来たことをアピールしなくてはならない。今度は私が言っ た。
 「オレ達、徳島の隣町・○○から来たんだ」
するとホステス
 「えーっ、うっそー。私も○○なんよ。どこ中出身?」
 
 ふたりの猿芝居はこれで「THE END」 だった。世の中、突き通せる嘘がある訳 無いのは、この時に初めて知った。結局、寸借詐欺行為まがいな迷惑料も含め て、支払った飲み代は法外に値する金額だった。ただ、当時のヒット曲、「踊る! ポンポコリン」をいち早く徳島で歌ったのはこの私である。いまだにそう信じる私だ が、この「ウヌボレ」が案外地方では思わぬ収入源だったりする。




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