チョット笑える話

チョット笑える話〜ツーリング・処女航海編 その1〜 2003/07/29
 社会人になって初めての夏休みを取ったとき。昭和62年の8月のこと。与えられ た休暇は僅か3日間、日曜日を足しても4連休だった。この時バイク歴は既に6 年。日帰りツーリングの経験はあったものの、泊まりの長距離は一切なし。ツーリ ングでなくとも、遠出した経験は修学旅行の日光と京都くらいなもの。
 (これでは駄目だ、世間を知らな過ぎる)
と、いうことで午前4時、心配そうなおふくろが見送るなかテントとシュラフを積ん だナナハンは北に向かって出発した。
 一般道だけでどこまで走れるか?正午に仙台通過。ここからリヤス式の海岸道 路をひた走る。突然の雨で、ラーメン屋で雨宿り。記憶は薄れたが、松島から宮 古の途中だったと思う。ここで食べた海鮮ラーメンは海の臭いプンプンの感動の 旨さだった。隣のテーブルは黒い上下皮スーツを着こなす紳士。やはり雨宿り中 であった。
 「一緒に宮古まで走ろう」
と誘ってくれた。おじさんのマシンはハーレー・FLHで、東京から帰省する途中と言 うことだった。
 午後8時、青森の三沢を通過。まだまだ走れる。深夜0時、下北の六ヶ所村に 到着。さすがに疲れてテントを張る気力も無し。仕方なく牧草地の上でそのまま寝 るが、蚊が大群で襲ってくるのでとても寝れたものではない。再びバイクを走らせ ると小学校があった。朝礼台の下にシュラフにくるまって深い眠りに就いた。
 午前6時。人の声、笑い声、子供だ。夢かうつつか、判断もおぼつかない状態 で、一生懸命事態を考えた。
「学校で野宿したらいかんがに!」 
教育者風の男性に叱られた。私を取り巻く、首からひも付きカードを下げた子供 たち。夏休み恒例・ラジオ体操の風景であった。(その2に続く)




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