チョット笑える話
チョット笑える話〜ツーリング・処女航海編 その2〜 2003/08/02
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ツーリング2日目。本州最北端大間崎から見えた北海道に思わず興奮。生まれ
て初めて見た本州以外の土地。バイクをここに置いて、フラッとフェリーで函館ま
で渡ってしまった。その同じ船でまた引き返す。僅か30分ばかりの北の大地での
滞在であった。行きの船内で出逢ったのが、相模原在住の大学生。彼の北海道
ツーリングはこれから始まる。実に羨ましかった。
大間に船が戻ったのは既に夕方。ここから脇ノ沢までダート(砂利道)を出逢わ
せた女性ライダーと一緒に走り、夕刻6時に到着。脇ノ沢からフェリーで津軽半島
に渡る予定だったが、1日2便の船は既に出航済み。次の便は翌朝9時発とのこ
と。途方に暮れて立ちつくすところに地モティのおばちゃんが通りかかる。
「青森までどのくらいかね?」
私が尋ねると、おばちゃん曰く、
「ほんの4時間だがに」
田舎の人間に4時間はアッという間かも知れないが、都会暮らしの私に4時間は
気の遠くなるほど永い。もう午後7時だから青森到着は深夜ではないか。更に竜
飛まで行って、明日中に家に帰るのが計画だったが、やっとその計画が無謀・不
可能であることに気づいてきた。こんなことなら函館なんて行かなければよかっ
た。
途中むつ市内の寿司屋で夕食をとり、青森到着は日が変わった午前1時過ぎ
だった。疲労困憊。ここで津軽行きは断念。仮眠後、神奈川に引き返すことにし
た。
青函連絡船のターミナル広場。広大な芝の敷地に色とりどりのテントが不規則
に並ぶ。止むことのない連絡船のエンジン音、乗船案内、そして車やバイクの排
気音。
「ウタマルさん!ウタマルさん、乗船開始ですよ!」
私のテントを呼ぶ外からの声で目が覚めた。どうやら私のテントを「ウタマルさん」
という人のテントと間違えているらしい。実に迷惑な話だが、テントには表札が無
いのだから仕方がないのかもしれない。
「桂歌丸さんなら笑点に出てますよ」
と、私が応答すると、
「いけねっ、間違えた!」
と、走って立ち去る足音。時計は午前3時。これも何かの運命。さっさとテントをた
たむと、バイクは本州最北端・津軽海峡の地・竜飛岬へと進路を進ませていた。
(その3に続く)
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