チョット笑える話
チョット笑える話〜ツーリング・処女航海編 その3〜 2003/08/03
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午前6時に竜飛岬に到着。歌の歌詞にもある通り、ここは「北のはずれ」であ
る。夕べの睡眠時間は僅か1時間半。今日中に果たして家まで帰れるのだろう
か。
小泊港・十三湖・能代と日本海沿岸をひたすら南下。昼頃に秋田駅を通過。こ
こから内陸に進路を変え、午後3時頃秋田県内の湯沢に到着。空腹に耐えられ
ず、これとおぼしき一軒の食堂に駆け込んだ。
駅前ストリートは夏祭りムード一色。青い空と眩しい太陽、そして「ワッショイ」の
子供御輿のかけ声と蝉の声。「名物稲庭うどん」の幟が立つその店の店内に客
は無し。店主と思われるオヤジは新聞紙を顔にあててひとり客席で熟睡してい
た。つけられたままのテレビが写し出すものは高校野球甲子園大会。
「注文いいですか?」
の私の声にオヤジはビックリして椅子から転げ落ちた。突然夢から覚めて椅子か
ら落ちたことにも驚いた様子だったが、この時間に客が現れたこと自体が一大事
の様相でもあった。冷静を装って、冷水を私のテーブルに奉仕するものの、まだ
私の存在に動揺は隠せない様子である。カツ丼と稲庭うどんの注文を受け、厨房
でそれらを調理中にもしばしば私に視線を送る。
出されたカツ丼とうどんにむさぼりつく私に、オヤジが我慢していた欲求を爆破
させたかのごとく聞いてきた。
「沖縄からバイクでここまで何日掛かったの?」
と。
「神奈川からですよ」
と、私。
「でも生まれは沖縄でしょ?」
と、このオヤジはどうも私を嫌でも沖縄と関連付かせたいらしい。面倒なので私
は、
「生まれは東京・品川、両親は茨城の生まれ、沖縄には親類は居ませんし、訪
れたこともありません」
とキッパリ言い放った。
当時(私が23才)、馴染みの床屋のお姉さんが秋田の湯沢出身だった。色白で
俗に言う秋田美人。彼女との世間話で度々登場する「湯沢」という街にいつしか
興味が沸いていたのだ。でなけりゃこんな田舎町、足を止める理由など全くない
ほど過疎化が進んでいて、これといって特徴のある街ではなかった。(チョット笑
えないマジな話〜ツーリング・処女航海編〜に続く)
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