チョット笑える話

チョット笑える話〜ツーリング・処女航海編 番外〜 2003/08/03
 昼過ぎに一本の電話で強制的に起こされた。電話の相手は仕事場の同期から だった。受話器の向こうで、相手はこう話す。
 「来週のキャンプの打ち合わせで、みんなもう集まってるんだけど」
すっかり忘れていた。来週の土・日と同期一同でキャンプを予定していた。買い出 しや、最終参加人員の調整などの為、今日幹事数人が打ち合わせをすることに なっていたのだ。既に会合のために幹事たちが集まっている場所はS市内の某フ ァミリー・レストラン。何かとよく利用させてもらった思い出のレストラン。自宅から 車を飛ばして約30分の距離だった。
 「遅れてご免。ここんとこ、チョット忙しくて」
と、言い訳して、私はとりあえず場を沈めた。顔全体が気持ち悪くて、出された冷 えたおしぼりで丹念に顔を拭いた。拭き終わったおしぼりの色はまんべん無い黒 茶だった。恥ずかしくて丸めて隠すものの、どんな丸め方をしても表面の茶褐色 を隠し用はなかった。 遅れたお詫びとして「函館名物・トラピストクッキー」を配っ た。その甘い、まろやかな味は本当に函館まで行った証を実感するのに充分だっ た。いつか北海道を思う存分走りたい。新たな旅の始まりを告げる瞬間でもあっ た。(完)




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