チョット笑える話

チョット笑える話〜留学編・PartY〜 2003/06/01
 ヘビやカエルは平気な私にも苦手な生物はいる。毛虫である。
 オーストラリアの一般家庭でホームステイを経験していた私は
 「面白いから来てごらん」
と、ステイ先の母親(ホスト・マザー)に庭に呼び出された。庭に駆け寄った私の視 界に写ったものは毛虫の行進。茶色い体長約10cmの奴らが一列に定規で測っ たように真っ直ぐに数十匹の列をなしていた。何の躊躇もなくそいつらを踏み潰そ うと、片足を振り上げたとたんに一括された。
 「やめなさい!何て事するの!やがて美しい蝶に成るのに」。
 「かもめはかもめ」(「青春工房VOL.4 TRACK.8」)。研ナオコの名ヒット曲であ る。「カモメはカモメ。孔雀や鳩やましてや女には成れない」と、歌詞は続く。私が 思うに所詮「毛虫は毛虫」である。ましてや綺麗な蝶々には成れない。
 (遠い外国の地では毛虫もやがて蝶に成るのだ)
と、私は心に思いこんで、その場はホスト・マザーの顔に免じて毛虫たちの命は 免じてやった。
 数週間後、庭から聞こえたホスト・マザーの悲鳴の声に跳び起きた。庭に駆け 寄ると、大群の蛾を踏みつぶしているホスト・マザー。大事にしていた植木に卵を 産み付けられたと半ば発狂していた。時期といい、その数といい、いつかの毛虫 のなれの果ての姿だったことは明白である。




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