チョット笑える話

チョット笑える話〜留学編・PartW〜 2003/05/10
 ケーントッドとはオーストラリアに広く生息する毒ガエルのこと。毒液は背中の皮 膚から分泌し、人間には害を及ぼさない。では何に有害なのかと問われると、最 愛のペットたちに害を及ぼすのだと答える。賢い人間達は子供の頃から、彼らの 有害さを親たちから教わっているので、彼らに変な手出しはしない。バカなペット たちは自分よりも下等な生物が目の前に現れたと、彼らに余計なちょっかいを出 し、猛毒の餌食となる。従って人々は、彼らを見つけると、暗黙のうちに奴らを殺 すことになっている。たとえ子供・婦女子であろうとも。逃がしたら最後、いつしか 最愛のペットを襲う敵を増やす確率を高めるからだ。
 私が独りで庭沿いの運河で寝そべっている時のこと。太々しい一匹のケーントッ ドが現れた。サンダル履きであったが、教え通りにヤツの頭を踏みつぶしてみ た。グニョリとするその感触。まるでゴムまりのようなヤツの面の皮は予想外に厚 く、結局ダメージは与えられなかった。そういえばそんな時、回りの人々はシャベ ルやゴルフクラブを持って走り回っていた。
 知人の家族が一家で海外旅行に出かけた。留守番を頼まれたひとりの老婦と ペットたち。勘のいい読者なら容易に想像もつくだろう。そう、こんな時に限って毒 ガエルは現れるのだ。しかもペットにとってもう一つの天敵である蛇を引き連れ て。
 素手での相手との格闘を諦めた彼女は、物置から巨大な植木ばさみを持ち出 した。まずはカエルの背中をこれでひと突き。次の相手は蛇である。こいつをハ サミで真っ二つにすれば良しとするところを、彼女は八つ裂きにした。
 数週間後、家族が無事に海外から帰国し、それを記念するパーティーが彼女宅 で開催された。主の奥さんである彼女は、家族の無事帰国を挨拶する間もなく、 毒蛇との格闘を招待客の前で生々しく語りだした。その様子はまるでエクソシスト かポルターガイスト。何かに取り付かれたように話す彼女の表情は、猛毒を持つ 生物よりも遥かに怖かった。




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